楽器について

         ヴィオラダガンバの楽器について


音域の高いほうからトレブル(フランスではドゥシュ、ドイツではディスカント)、アルト、テノール、バスがあり、その他にドゥシュより高いパルドゥシュ(フランス)、バスより低いグレートバス、コントラバスがある。このうち、コントラバスは特別にヴィオローネとも呼ばれる。
17世紀の初めまでに、M.Praetorius, Pietro Cerone, Adrian Banchieri,により、より精密にガンバのことについてが記述されるようになった。
例えば、Marin MersennesHarmonie universelle (1636)には、様々な楽器の調弦についての記録が残されている。楽器の弦長は。バスガンバが約70cm、テノールガンバは約60cm、アルトは約50cm。ディスカントガンバは約40cm。
上板にはトウヒ、底板、横板、ネックにはカエデの木材を使われることが多く、
他にも梨や桃、桜など果物の木材が使われることもある。
歴史的なガンバの楽器の形においては、様々で統一されたものは無い。
それらは、マイスターや地域によっても異なってくる。
有名なヴィオラダガンバの楽器として、Jakob Steiner (Tirol 1673),Joachim Tielke (Hamburg 1699),Barak Norman (London 1699), Nicolas Bertrand (Paris 1701), Pieter Rombouts (Amsterdam 1708)などがある。
 
駒について
Silbestro GanassiLettione seconda(1543)によると、演奏実践において駒は
交換すべきだと記している。つまり、低い駒においては、和音が特に簡単であり、
高い駒の場合、ソリスト的な演奏に好まれるということだ。
駒の構成は、音質に大きく影響してくる。
 
調弦について
ヴァイオリン属はコントラバスを除いて5度調弦だが、ヴィオラ・ダ・ガンバは4度(3度)調弦が基本である。
また指板には、ギターのようにフレットがついており、様々は調弦方法が
可能とされる。17世紀後半にサントコロンブにより、バスの最低弦の4度下に第7弦を追加することが考案された。フレットに関しては、7本が一般的であるが、17世紀において、8本のフレットがある記述もある。フレットは半音階の幅でつけられている。リラ・ヴァイオルやヴィオラ・バスタルダではしばしば特殊な調弦が行われた。


 弓について
ガンバの弓は、大きく分けて、バロックのタイプとルネッサンスのタイプがある。
一般的にモダンの弓に比べて長い。イギリスの教則本などの資料によれば、大体弓の長さは76cmくらい。ルネッサンスとフランスバロックの弓は、大体90cmあり、それは楽器の大きさと比例する。
ジャンルソーによれば、弓の白い毛は、小さい楽器に、黒い毛はバス楽器に使うとよいと書かれている。弓の毛留めに関しては、17世紀から18世紀の終わりごろまで、差し込み型のものが使われていた。巻き式型のものは1720年ごろ発明された。図1

例えば、クリストファーシンプソンの、"Divisionviol"(1665年)によると、

毛の張りの部分だけはでは68.8cm、すべての長さは79cmにおよぶ。

弓の毛留めの重さも入れ、バランスのよい重さになる。


 
ガンバの弦について
ガット弦(羊や牛の腸から作られた)0.3mmから4mmほどの太さのもの
を使用している。また低弦にはスチール弦を使用している。
 

図1
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